第2回研究会

  • 日時: 2009年5月9日(土) 13:00~17:00
  • 場所: 東京大学多分野交流演習室(赤門総合研究棟845)
  • 報告内容

1.小椋宗一郎(東京大学)
「妊娠葛藤」とドイツの相談制度について

妊娠中絶をめぐるドイツの長年の議論の中で「妊娠葛藤」という概念が注目され、相談などを通じた中絶問題への 具体的な取り組みへとつなげられてきた過程についてお話しします。理論的には「葛藤論」の背景をなす議論です。 実践的には、単なる情報提供ではなく、当事者の主体性を尊重しながら決定過程に寄り添う「相談」について、その 内実に即して論じます。

2.伊佐智子(久留米大学非常勤講師)
生殖補助医療の法的規制の必要性

――受精卵取り違え事件と女性のリプロダクティブ・ライツそして胎児の生命――

香川県立中央病院(高松市)において受精卵取り違えによる体外受精を受けたことを知り、妊娠第9週に女性が 中絶手術を受けていた事実が報道された。ここには、医師、治療を受ける患者としての女性、家族、そして、胎児 など、様々な当事者が関わっているにもかかわらず、現在、生殖補助医療を規制する法律は存在しないといって よい。では、このケースは法理論的にいかに説明可能なのだろうか。本報告では、この事件に関わるいくつかの 法的側面を分析することにより、現代の生殖補助医療の問題性を明らかにするとともに、今後の法的規制の 必要性を検討したい。