第4回研究会

  • 場所: 東京大学法文1号館212教室 地図
  • 時間: 13:00~17:00
  • 報告要旨
    発表1: 代理出産への対応―フランスにおける「他者のための妊娠」をめぐる議論から―小門穂(お茶の水女子大学ジェンダー研究センター)フランスにおける代理出産をめぐる議論は、1980年代の代理出産仲介業者認可に関する係争に端を発し、1991年の代理出産契約は公序違反であり養子縁組制度の濫用であるとした破毀院判決、1994年生命倫理法の「他者のための妊娠」の契約無効と、有償・無償を問わず仲介行為の禁止規定により、収束が期待された。代理出産禁止国であると国内外で認識されており、国内での実施は困難、合法とされている国・地域でフランス人カップル(個人)が代理出産を実施できたとしても、フランス帰国後に親子関係を認められない現状である。
    しかし、禁止立法後も、実施を試みる者は少数とはいえ存在し、今後も、そのように生まれた子の親子関係についての係争は絶えることがないだろうと予想される。また、カップルが子を持てない場合に第三者の女性に代わりに産んでもらうという行為の意義が当事者団体などにより社会に提起され続けている。その結果、2009年から始まっている生命倫理法改正作業において、代理出産合法化の是非は重要な争点の一つとなっている。立法による是非や親子関係のあり方に関する決定は必要だが、それだけでは解決にならないことを認識すべきなのだろうか。社会が、代理出産という行為に対してどのように対応できるのか、フランスにおける議論を通して考えてみたい。発表2: イタリアとカトリックの生殖補助医療をめぐる倫理問題
    秋葉悦子(富山大学経済学部)西洋の生命倫理には、個人の自己決定権を最高原理とする個人主義 生命倫理と人間の尊厳を最高原理とする人格主義生命倫理の二つの 潮流がある。前者は70年代に米国に出現した世俗的な生命倫理であ り、日本でも積極的に受容された。後者はヒポクラテスの医の倫理 に遡ることができ、今日では国際的な生命倫理の条約や宣言として 採用されているが、最近500年ほどの間はカトリック倫理神学が主た る担い手であったためか、日本での受容は遅れている。イタリアで 2004年に成立した生殖補助医療法は、後者の立場に立ち、生まれて くる子供に、女性、カップル、研究者と同等の尊厳と人権を認める ための様々な方策を導入している。
  • プログラム
    13:00~13:05 司会挨拶:柳原
    13:05~14:05 発表1:小門穂氏
    14:05~15:00 ディスカッション
    15:00~15:10 休憩
    15:10~16:10 発表2:秋葉悦子氏
    16:10~17:00 ディスカッション
  • 主催:代理出産を問い直す会
  • 共催:2009-2011年度 文部科学省(新学術領域) 「女性に親和的なテクノロジーの探求と新しいヘルスケア・システムの創造」(代表 日比野由利)