映画『卵子提供―美談の裏側』

映画紹介

『卵子提供―美談の裏側』

原題「Eggsploitation」
(2013年 米国The Center for Bioethics and Culture制作 45分)

今やアメリカの不妊治療は数千億円規模の巨大産業に成長している。そこでもっとも盛んに取引されているものは何か?――人間の卵子だ。大学構内の掲示板やソーシャル・メディア、オンラインの求人広告では、 若い女性たちが数十万円から数百万円、時には1000万円にも達する額を提示されている。そして誰かの夢を叶えるために「人助けをしましょう」と甘い言葉で誘われるのだ。

それらの求人広告はもちろん、映画やテレビドラマまでもが卵子提供に好意的だ。卵子提供は、女性たちの助け合い、自己犠牲、科学技術の華麗なる成果として描かれる。 しかしそこに卵子提供の実態は表れていない。彼女たちが提供を決めた経緯はもちろん、どのように薬を服用し、手術を受けているのか、そして提供後、彼女たちがどうなっているのかは美辞麗句の裏に隠されたままだ。

本映画の原題は『eggsploitation』。「eggs」(卵子)と「exploitation」(収奪)をつなげた造語である。作品内では当事者へのインタビューを通じて、実際の「卵子提供者」の扱われ方、 提供者が経験する短期的リスクや長期的リスクといった、今まで知られていない実態が明らかにされる。そこからは、若い女性たちを資源とみなし収穫し続ける姿、すなわち卵子提供の常套句である 「人助け」とは対極の収奪システムが浮かび上がってくる。

日本語版制作について

日本語版制作は、「代理出産を問い直す会」が、2013年度竹村和子フェミニズム基金の助成を受け、生命倫理文化ネットワークセンターによる著作権の許可を得た上で行った。 なお、本映画『eggsploitation』は元々2010年にリリースされたが、2013年10月に更に新たな事例を追加した新バージョンが再リリースされた。今回、日本語版制作に用いたのは、 この新バージョンである。

Eggsploitation日本語版制作委員会

  • 総合監修・翻訳:柳原良江
  • 編集:石川公彌子・勝野有美・平岡章夫
  • 映像:鈴木良子
  • 翻訳協力:大野和基
  • コーディネート・翻訳協力:Christian Justin Shearn
  • 医学監修:打出喜義

オンライン配信

「代理出産を問い直す会」が日本語版を制作した映画『卵子提供–美談の裏側』(日本語版)は、現在、下記のサイトから有料にてご覧頂けます。

【オンライン配信サイト】

※お支払い頂く視聴料は全て、本映画のオリジナル版である「Eggsploitation」を制作したNPO団体
米国生命倫理文化センター(The Center for Bioethics and Culture Network)
の収益となります。
※このオンライン映像は、私的な視聴を目的としたものですので、公的な場での上映会を実施する際は、引き続き当会までご連絡下さい。本映画が卵子提供に関する危険性を日本国内の人々に知って頂く上での一助となりますことを願っております。

上映会

【イベント趣旨】
近年、日本でも第三者の女性の卵子で妊娠する事例が増え、卵子提供という方法が知られるようになってきた。しかし一般的にこの方法では、卵子を望む不妊治療者の願いや、 女性のライフスタイルの多様化など、ポジティブな面ばかりが強調され、もう一人の当事者である卵子を提供した女性や、生まれた子どもの抱える問題の実態は殆ど伝えられていない。 「代理出産を問い直す会」では、このような知識や議論の偏在を前に、卵子提供者が抱えるリスクをより多くの人に伝えるべく、卵子提供の実態を描くドキュメンタリー映画上映を行っている。

映画のチラシはこちら(PDF)