映画『代理出産―繁殖階級の女?』

映画紹介

映画『代理出産―繁殖階級の女?』
原題「Breeders」(2014年 米国The Center for Bioethics and Culture制作 50分)

代理出産は、早くから21世紀の重要な論争の一つ となってきた。有名人も一般人も、家庭を築くため、 ますます代理母を利用している。しかしこの方法は、 女性、子ども、そして家族にとって複雑な問題をは らんでいる。 代理母となった女性、そしてその女性から産まれ てくる子ども達にどんな影響が生じるのか。金銭の やりとりは物事を複雑にするのか。親族や知人が自 己犠牲で代理母になった場合は? 代理出産は美しい善行なのか、それとも単なる赤 ちゃん製造として妊娠・出産を貶める行為か。私達 はうまく折り合い方を見つけられるのか。そもそも それを模索すべきなのか?

制作者

本ドキュメンタリーは、米国のNPO団体「The Center for Bioethics and Culture(CBC:生命倫理 文化センター)」により制作された。同団体は生命倫理に関する社会問題を対象に、ウェブサイトを通じた 情報発信はもとより、ドキュメンタリー映画制作や、 講演、メディアのインタビュー出演などを行っている。 米国内の法律制定に係る公聴会はもとより国連でも発言し、国際的に生殖技術政策への政治的発言力を高めつつある。ドキュメンタリー映画としては本作のほか、 卵子ドナーの健康被害実態を扱った『eggsploitation (邦題:卵子提供 美談の裏側)』(2010,2013)、 匿名で提供された精子により生まれた人の問題を描く 『Anonymous Father’s Day』(2011)などがある。

Breeders 日本語版制作委員会

  • 総合監修・翻訳:柳原良江
  • 編集:鈴木良子・勝野有美・小島剛
  • 映像:鈴木良子
  • 翻訳協力:大野和基
  • コーディネート・翻訳協力:Christian Justin Shearn
  • 医学監修:打出喜義

上映会

【イベント趣旨】
これまで代理出産に関する報告といえば、それを「人助け」の「善行」に位置づけるものが一般的であった。近年になり、先進国の依頼者がインドやタイの貧困女性を相手に実施する場合のような、南北問題の側面に焦点を当てた報告もなされているが、経済的な不平等を問うだけでは、代理出産という方法それ自体が持つ問題は、なかなか表面化してこない。
アメリカのNPO団体により制作された映画『代理出産–繁殖階級の女?』(原題「Breeders: A Subclass of Women?」2014年制作)は、アメリカ国内で、人助けの名目で代理母になった女性たちや生まれた人の語りを中心に、この方法に関係する人々に複雑な問題を作り出す姿を映し出すものである。代理出産という方法は、代理母となった女性、産まれてくる子ども達、代理母の家族たちにどんな影響を生み出したのか。親族や知人が自己犠牲で代理母になった場合は問題がないと言えるのか?この映画は、一般的に「善行」と信じられている無償の代理出産を軸に、アメリカ国内の代理出産の問題を描き出していく。
本企画では、この映画の上映を通じて、改めて代理出産の持つ問題点を把握したい。そして世界中に広まる「第三者の関わる生殖技術」を視野に入れた上で、現状での日本の位置づけや、今後の法整備のあり方について、多くの方と共に議論する機会を持ちたいと考えている。