*書籍のタイトルについて、既存の日本語訳書のないものについては、暫定的な日本語訳を宛てています。意訳も含まれます。
代理出産反対派
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Andrea Dworkin
1946年生まれ米国人。最も先鋭的なフェミニストとして知られていた。詳しくは英語のWikiを(こちら)。性と暴力、女性の身体の関係性について生涯にわたり論じてきた。
代理出産に関する主な書籍:Dworkin, A. (1982). Right-Wing Women. PERIGEE.
本書でドゥオーキンは代理出産を、新たな形の売春と捉えている。同様の議論はCorea、Spalloneなど、80年代に他のフェミニストにも共有される。昨今ではEkmanが同様の論点で批判している。
- Gena Corea
米国人フェミニスト。本人によるウェブサイトはこちら。ただし情報量は少なめ。Corea, G. (1985). The Mother Machine. New York: Harper & Row.
日本語版あり。『マザー・マシン――知られざる生殖技術の実態』。
- Rita Arditti
米国人フェミニスト。生物学者。1934年生まれ。追悼ウェブサイトはこちら。
- Patricia Spallone
英国人フェミニスト。York Reproductive Rights Campaign とFINRRAGEのメンバー。かつてメディカルスクールで生化学者として働いていた。
代理出産に関する主な書籍:Spallone, P. (1989). Beyond conception: the new policies of reproduction. Basingstoke: Macmillan.(妊娠の向こう:生殖の新たなポリシー)。この著書に関する記事はこちら。IVFの現場が女性を人間として扱っていない現状、新優生学の台頭を批判。
- Renate Klein
1945年生まれオーストラリア人フェミニスト。元大学教員。Kleinに関する英語のWikiはこちら。
代理出産に関する主な書籍:Klein, R. (2017). Surrogacy: a human rights violation. North Geelong, Victoria: Spinifex Press.(代理出産ーー人権侵害)
同書に関する記事はこちら。
実際の代理母たちの声を纏めた共編著がある。Jennifer Lahl, Melinda Tankard Reist, Renate Klein (eds). (2019). Broken bonds: surrogate mothers speak out. Spinifex.(壊れた絆ーー代理母が語る)本書では、米国、英国、カナダ、オーストラリア、インド、ルーマニア、ハンガリー、ジョージア、ロシアの代理母と卵子提供者が自らの経験を語っている。
- Kajsa Ekman
1980年ストックホルム生まれのスウェーデン人ジャーナリスト。「代理出産に反対するフェミニスト(Feminists Against Surrogacy)」のメンバー。
代理出産に関する書籍:Ekman, K. E. (2014). Being and being bought: prostitution, surrogacy and the split self. North Melbourne, Victoria: Spinifex Press.
代理出産に関する記事:Surrogacy, Reproductive Prostitution and Child Trafficking(代理出産、生殖売春、そして子供の売買)リンク
- Sheela Saravanan
インド人フェミニスト。インド国内の大学で修士号を取得したのち、オーストラリアでPh.Dを取得。2007年よりドイツの大学でPDを経て、2020年よりインド国内で大学教員。代理出産に関する書籍:Saravanan S. (2018). A transnational feminist view of surrogacy biomarkets in India. Singapore: Springer.インドの代理母に関する調査、その結果をフェミニズムの文脈で分析。後述するRagonéに代表される擁護論をポストコロニアル理論に沿った”rescue narrative”として批判。
代理出産擁護派・推進派
- Helena Ragoné
1991年ブラウン大学卒。同大学でPh.D 取得。大学教員。文化人類学者。本人のウエブサイトはこちら。代理出産に関する書籍:Ragoné, H. (1994). Surrogate motherhood: Conception in the heart. Boulder, CO: Westview Press (代理母ーー心に孕むもの)同書では、インドにおけるフィールドワークの結果を元に、代理母の置かれた環境と彼女たちの考え方を分析している。代理出産を推進するものではないが、当事者の取り組みを女性の助け合い、女性のエンパワーメントとして評価している。この発想はインド人フェミニストのSaravananにより批判されている。