Author Archives: yyanagihara

依頼者・あっせん業者

公的な場で発言を実施した/している依頼者やあっせん業者の意見

依頼者

  • ふたりパパ:スウェーデン x 日本、ゲイカップルの子育てブログ
    イギリス在住時に、アメリカの代理出産を用いて子を得た事例。自らの経験に関する本を出版し、マス・メディアでしばしば発言している。
    補足)同記事の事例はしばしば誤解されるが、本ブログの執筆者は、商業代理出産の可能な地域に居住しているわけではない。2023年4月時点でもスウェーデンで代理出産は合法ではない。代理出産実施時に居住していたイギリスも、国内の無償代理出産のみを合法化するだけで、海外の代理出産を合法化してはいない。
  • 還暦からの子育て 双子ちゃん日記
    ブログ主が本ブログにて自らが「生殖補助医療のあり方を考える議員連盟」第21回(2023年2月開催)にて「代理出産」の当事者として話したことを紹介。
    補足)60歳で米国において、主にゲイカップルの代理出産を手掛けるイスラエルのあっせん業者を用いて依頼。*本ブログから、代理出産を実施した医療機関は、アーカンソー州立大学医学部の病院とわかる。同州は2017年に判例により代理出産が可能になったばかり。いったん合法化すれば外国人依頼者の増える現状が示される。

 

映画『代理出産』第5回上映会

代理母/生まれた人から代理出産を考える
~映画『代理出産ー繁殖階級の女?』を手掛かりに~

  • 日時:2023年3月18日(土)18:30〜20:30
  • 会場:Zoomによるオンライン上映会
  • 登壇者
    司会:伊佐智子(久留米大学)
    報告・解説:柳原良江(東京電機大学)
    コメンテーター:鈴木良子(フィンレージの会スタッフ)
  • プログラム
    18:30より柳原による報告・解説
    19:00より上映(約50分)
    その後コメント+質疑応答の予定。

質疑応答が多い場合、終了を21:00に延長することもあります。
あらかじめご了承ください。

左のQRコードからアクセスすることもできます。
*必ず、お一人につき一通のメールにてお申込み下さい。

 

  • 主催:代理出産を問い直す会
  • 後援:女性市民の会(仮)
    本イベントにはJSPS科研費19K12615による成果が含まれます。

チラシはこちら

23BREEオンライン上映0318チラシ (002)

 

第10回研究会

ART議連第21回総会報告内容に関する勉強会

「女性市民の会(仮)」との共催として

開催日時:2023年2月25日19:00-21:00

報告者:柳原良江(代理出産を問い直す会代表)

形態:Zoomによるオンライン。

参加者:代理出産を問い直す会関係者、「女性市民の会(仮)」関係者(クローズドでの実施)

報告概要

2023年2月9日に実施された「生殖補助医療のあり方を考える議員連盟」第21回総会では、60歳で米国の商業代理出産を利用した依頼者による事例報告がなされた。 この勉強会では、本報告事例がリアルに示す、グローバル化した商業代理出産の現状について、学術的な問題点を分析のうえ説明した。論点は以下の通りである。

  •  アメリカの商業代理出産の歴史と現状
  • 日本におけるあっせん業者の歴史や値段帯
  • 代理出産利用者層の変遷
  • 代理出産肯定論における言説の変遷
  • 商業代理出産における「ボランティア」の現状とレトリック構造
  • イスラエルやインドを資本とする代理出産あっせん業者の状況

当日スライド表紙

『こわれた絆ーー代理母は語る』

代理母たちの証言集『こわれた絆――代理母は語る』が出版されました。

ジェニファー・ラール/メリンダ・タンカード・リースト/レナーテ・クライン(編)

柳原良江(監訳)

生活書院

2022年10月25日

こわれた絆の表紙

画像をクリックすると、Amazonの本書紹介ページに行きます。

 

当会代表者が監訳を務めました。また当会の関係者が数名ほど、本書の翻訳に携わっております。

 【内容紹介】

これまで代理出産における当事者のうち、代理母や卵子ドナーの経験が語られることは、殆どありませんでした。一般的にこれらの当事者たちは、契約により事実を公にすることを禁じられているためです。

本書は代理母や卵子ドナーとなることで心や体に被害を被った方々が、自分と同じような苦しみを負う女性を増やさないよう、勇気を振り絞ってあげた声から成る証言集です。

本書に登場する代理母は、日本でも批判の多い「商業代理出産」の事例だけではありません。倫理的な問題が少ないと考えられる「無償代理出産」の事例も数多く掲載されています。無償代理出産の実施を通じて、依頼者を含め関わる全ての人々が、予期せぬ負の感情に襲われ、悩み苦しむ姿が描かれます。

原著共編者による「はじめに」や、監訳者による「解説」では、グローバル化した代理出産の実態が説明されます。男性に特化した市場の存在や、性的虐待目的で代理出産が利用された事例、無償代理出産に限定する代理出産合法化が、国外の商業代理出産利用を促進する現状が紹介されます。

「監訳者あとがき」では、グローバル市場における日本の位置づけの変化を論じています。

「解説」や「監訳者あとがき」など監訳者による書き下ろし章には、監訳者による調査研究結果も掲載されています。

たとえば厳しい条件のもと、無償の代理出産のみを容認するイギリスで、結果的に海外の商業代理出産利用が増加した事実が説明されます。またギリシャにおける無償の代理出産が、外国人の生殖アウトソーシングに利用される現状についても述べています。

日本で過去に実施された親族間の無償代理出産実施のその後や、国内で日本人女性が外国人富裕層の代理母となった事例など、日本の現状も説明しています。

今後、日本で代理出産が法的に容認された場合に、どのような問題が起こるのかを予測するうえで、重要な情報となるはずです。

 

【目次】

  • はじめに
  • 戻れない血の契約  キャシー(カナダ)
  • 人生最大の過ち  オクサナ(ジョージア)
  • 匿名はもうたくさん――私はどのようにして複数回卵子ドナーに仕立て上げられたか  マギー(米国)
  • 不完全な赤ちゃんを妊娠したら、使い捨てに  ブリトニー(米国)
  • 知る権利なし  ナターシャ(ロシア)
  • 哀しい家族のつながり──息子に再び会えるでしょうか?  オデット(オーストラリア)
  • 私の代理出産が、悪夢になったとき  デニース(米国)
  • 私は孵卵器  ナタリア(ロシア)
  • 利用されだまされ、経済的にも破綻して、打ちのめされた  ケリー(米国)
  • 代理出産が家族をこわした  ロブ(オーストラリア)
  • 止まらない心の痛み  ウジュワラ、ディンピー、サララの経験(インド)
  • からだもこころも滅茶苦茶に  マリーアンヌ(英国)
  • 代理出産はビジネスである  エレナ(ルーマニア)
  • 張った乳房と張り裂けそうな心で、独り残されて  ミシェル(米国)
  • 「無私」のドナー  ヴィクトリア(ハンガリー)
  • 善意が人種差別と憎悪に出会うとき  トニ(米国)
  • おわりに
  • 謝辞
  • 文献一覧
  • 解説 世界の代理出産の概観
  • 監訳者あとがき
  • 訳者紹介

 

出版社による本書紹介ページ https://seikatsushoin.com/books/kowareta/

本問題に関心を持ち、こころよく翻訳作業を引き受けて下さった共訳者の方々に、この場を借りて深くお礼申し上げます。

 

追記

アマゾンウエブサイトには、コレクター商品として定価より高価な品が掲載されておりますが、現時点で本書に何らかのプレミアの付いた版は存在しておりません。

映画『代理出産』第4回上映会

映画『代理出産ーー繁殖階級の女?』
第4回上映会

  • 日時:2021年12月10日(金)17:30~19:50
  • 主催:法政大学大原社会問題研究所
  • 会場:Zoomによるオンライン上映会
  • 詳細:50分間の上映と解説・質疑応答。こちらをご覧ください。

  終了しました。

2021シネマ・フォーラム「卵子提供」「代理出産」

映画『卵子提供』第14回上映会

映画『卵子提供―美談の裏側』
第14回上映会

  • 日時:2021年11月26日(金)17:30~19:20
  • 主催:法政大学大原社会問題研究所
  • 会場:Zoomによるオンライン上映会
  • 詳細:45分間の上映と解説・質疑応答。こちらをご覧ください。

  終了しました。

2021シネマ・フォーラム「卵子提供」「代理出産」

声明文(2020年12月20日)

「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」についての声明

去る2020年12月7日第203回臨時国会にて「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」が成立した。

当会は、法案の審議前から要望書(PDFのリンク)を作成、国会関係者に送付してきた。当会以外にも、当事者団体や女性団体、障害者団体など、諸団体が法案に対する懸念や法文上の問題点を示し、人の命に関わる本法案に関する、十分な議論とそれを反映させた法文改善を要求してきた。しかしながら、それら国民から寄せられた懸念は顧みられることなく、本法案は参議院法務委員会で2時間20分、衆議院法務委員会で2時間30分と、極めて短時間の審議を経たのちに成立した。

このように国民の声を無視して強行された、非民主的な立法過程に関して、国会関係者は猛省すべきである。そして本法律によって今後本邦にもたらされる社会問題に対し、当会は強い憂慮の念を抱いている。以下、本法律が持つ問題と、本法律による不備がもたらすであろう将来的な問題について説明する。

本法律が持つ問題

  • この法律により、一般社会では、卵子提供が本邦でも法的・社会的に容認されたものとみなされかねない。
  • 第三者の卵子を用いた生殖技術(卵子提供による妊娠および代理出産)における卵子提供者・懐胎者・生まれてくる児の被る医学的リスクは、本法律の提出、成立に至る中で、まったくといっていいほど検証・審議されていない。
  • 現状の生殖補助医療は、女性身体の商業的搾取という構造的問題点を孕んでいる。そのような中、なんら規制もないまま本法律により親子関係を先に保障すれば、卵子提供の商業化が進む。
  • 本法案は2年を目処に代理出産の合法化も視野に入れている。代理出産が合法化されれば、上記の問題は更に深刻化し、健康被害を含め、女性身体の搾取・収奪は深刻化する。
  • 当事者に関する心理的援助は現実性を欠き、誰が当事者なのかさえ明確ではない。

本法律の不備がもたらす問題

  1.  卵子提供と提供卵子による妊娠がもたらす健康被害について

    • 卵子提供者(卵子ドナー)の健康被害
      卵子提供では、一般的な不妊治療とは異なり、ドナーに対して大量のホルモン剤が投与される。商業的な卵子斡旋が盛んな米国では、卵子ドナーとなったことで、若い女性が後遺障害に苦しんだり、自身が不妊になったりしている。他国では死亡例も存在し、さらに長期的な副作用としての発がん性の疑いも指摘されている。
    • 母体の健康被害と生まれる児への影響
      提供された卵子(ドナー卵子)で妊娠出産する女性は、自己卵子で妊娠する場合と比較して、より重大な医学的リスクに晒されることが、医学論文により確認され、本邦でも報告されている。具体的には重い妊娠高血圧症候群、癒着胎盤、分娩後の大量出血、それらに伴う子宮摘出などである。これらは母体だけでなく児にも大きなリスクがある。
    • 当事者が被る負担
      卵子ドナーや、提供卵子で妊娠する女性に、十分な説明と同意のもとで、慎重な医療的プロセスが取られるとしても、女性たちは事前の薬物投与を含めて長期の監視のもとに置かれることとなり、その心身への負担は極めて大きい。またいくら慎重な医学的管理を行っても、排卵誘発剤使用による血栓症や、分娩時の突発事象は完全には防ぎ得ず、これらの健康被害は取り返しがつかない。

2.生殖技術における女性の身体の商業化・女性の収奪について

    • 親子関係の保障による商業化の促進
      米国・カリフォルニア州では生殖技術に関する、種々の規制法の成立を待たず、判例により、子を持つ意思のある依頼者が親となることが保障された。その結果、依頼者は、安心して卵子提供や代理出産を実施できるようになり、米国は世界一の生殖ビジネス市場となった。日本も同様の事態が想定される。
    • 日本経済の低下に伴うグローバルな女性の収奪
      これまで国内で実質的に卵子提供が禁止されている状態であっても、日本の若い女性が、インターネット広告の募集に応じ、米国やタイに渡航して卵子を提供(売買)してきた。日本経済が低迷し、日本人の隠れた貧困が深刻化している状況において、今後、日本国内の女性が、グローバルな生殖技術市場で、卵子や代理母の供給源としてターゲットになることは明白である。本法律は、近い将来さらに増加するとみられる、経済力に乏しい女性たちを、これまで以上に卵子提供や代理出産の圧力に晒すことになる。
    • 無償の卵子提供による収奪の拡大
      日本は女性の社会的地位が低く(ジェンダー・ギャップ指数では世界121位)、いまだ家制度の発想が残る。本法律により、望まぬ卵子提供や代理出産など、若い女性が家族・親族から圧力を受け、身体を提供せざるを得なくなる事態が生じる危険がある。

3. 潜在的な依頼者による利用の増大

    • 独身男性・高齢独身女性による需要
      日本では、卵子を購入したり、代理母を利用するのは、ヘテロセクシュアルの男女の不妊カップルだけかのように議論されているが、現実には、極めて多様な人々がそれらを利用している。2008年に国際問題となり、インドの法律改正にも影響を与えた「マンジ事件」では、日本人の男性が、ネパール人女性の提供卵子を用いてインド人代理母に児を産ませている。2014年にインターポールの調査対象となったタイの「赤ちゃん工場事件」でも、日本人の独身男性が、提供卵子とタイ人代理母を利用して15人を超える児をもうけている。さらに日本人の独身高齢女性が、米国で卵子、精子を購入し、代理母によって児を得た事例も報告されている。
      これら無制限の商業的生殖ツーリズム、人体搾取は国際的にも批判され、2010年代にはアジア諸国が規制を進めることとなった。しかし我が国の政府は、上記のような実態を顧みない浅薄な認識のもと、何らの規制もない“容認法“を成立させた。国として無責任と言わざるを得ない。
    • 男性カップルによる需要
      同性婚の合法化された地域では、兄弟のため姉や妹が卵子提供者や代理母になる例が続出している。今後、日本でも同性婚が合法化されれば、卵子や代理母の需要は確実に増加する。すでに日本国内にも、姉妹から卵子を得て、パートナーとの間で子を得た男性カップルが存在する。歯止めとなる法律を欠いたまま、同性婚が合法化されれば、親族による卵子の需要は急激に高まり、女性たちが圧力に晒される。

4. 当事者に対する心理社会的援助の欠如

    • 相談を提供する必要性
      法案第3条2項には、「必要かつ適切な説明」と「各当事者の十分な理解」が求められている。しかしこれは、いわゆる「インフォームド・コンセント」のルールを確認するものであり、一般の医療行為の要件を超えるものではない。生殖補助医療を利用する際には、単なる「説明」では足りず、傾聴と対話を旨とした心理専門職の技能をもとに、必要な社会的援助へとつなげる「相談」を提供する義務を医療機関に課すべきである。
    • 相談体制の整備を「絵に描いた餅」にする法案
      第7条には国による「相談体制の整備」がうたわれている。しかし不妊の悩みは身体のみならず、心理的、社会的な側面が相互に関係しあう複合的なものである。このため、技術的解決を推進する〈医療〉とは別の立場に立ち、不妊に悩む人々の苦しみそのものを正面から受け止める援助者(公認心理士、社会福祉士等)が求められるべきである。〈医療〉〈治療〉に囚われない相談を提供し、公的資金によって運営すべきである。生殖補助医療という〈技術的解決〉を前面に押し出したこの法律は、結果的に、不妊治療クリニックの利権を拡大し、不妊治療で悩む人を増大させ、その悩みを深刻化させることが懸念される。

以上